「サロン・ラ・カーベ」から「サローネ・デル・ロト」へ
  昭和43年8月、真宗大谷派僧侶清水洪師、彫刻家日下部濱江女史を中心とし「サロン・ラ・カーベ」が誕生。
 以来、休会に到るまでの約30年間、さまざまなジャンルのゲストにご登場願い、第430回の例会を重ねる。
 開設当初の「サロン・ラ・カーベ」ゲストとテーマ表には清水洪師の述べられた次のような文言が掲げられている。

CONVERSATION SOCIETY
街の談話クラブ
サロン・ラ・カーベ
−Salon De La Cave−

 特定の主義主張をもたず、集まるメンバーにも、年齢、性別、職業等一切の制約をつけない、完全に自由なサロンです。
 毎回あらゆるジヤンルから有名無名の専門家をゲストに迎え、マスコミの弊をしりぞけ、マンツウマンの世界を通して人生を語ろうというわけです。
 薫り高いブレンドコーヒーを味わいながら、ゆらぐ紫煙の中に、すべての繁忙から解放された完全に自由なあなたの時間が欲しくはありませんか。
 そこでは、芸術、哲学を語り、スポーツ・趣味を話し、政治・経済を論じ、人生に幅ひろい横のつながりを持つことができるでしょう。
 めまぐるしい現代人の生活に閑かなしぼしの時をもつ、心の憩いの場、街の談話室、趣味の社交室そんな場所として開設しました

 昭和56年には会の主催者である清水洪師が遷化され、その後、日下部演江、岩田正太郎氏を中心として継続、そして平成10年7月の例会ゲスト藤本義一氏を最後に休会。会の継続を考えて会員の皆様より後継者、運営面でもさまざまな意見が出されたがそのままとなってしまった。
 私自身途中からの入会でしたが「サロン・ラ・カーベ」の会を通じてさまざまな方々と出会い、また会員の方々にお教え頂いた。何とか「カーベ」の会に近いものを作ってみたいと試みもしたが、毎回ゲストを迎え入れる精神的な余裕、時間もないまま過ごす。
 平成13年、念願の本堂増改築工事が終り、やっと一息と思ったら数名の方から「せっかく本堂が出来たんだから、このスペースをいろんな方々に利用してもらったら。出来れば文化的なことを・・・」等々の言葉を頂いた。一緒にがんばってもらえるということで会を再開することとなった。
 さて、考えたのは一番大切な会の名称をどうするかということ。自分を育てて頂いた「サロン・ラ・カーベ」の名称をそのまま引き継ぐかどうかで一番悩む。
 しかし、結論的には自信がなかったということになってしまうが、「サロン・ラ・カーベ」の心を、またカーベ第430回のゲスト表を引き継がせて頂き、名称をイタリア語で、新しく「SALONE DEL ’ LOT0 〈サローネ・デル・ロト〉」(蓮に包まれたサロン)と変更し、平成14年11月からのスタートとなった。
 この筒井の地が蓮根の産地であり、自坊も過去には蓮根畑に囲まれていたことも名称に由来するところです。
 また、「サローネ・デル・ロト」を開会するにあたって、気になったのは主催者であった清水洪師は街中で、しかも場所にご自身のお寺を使われなかったということ。
 これには相当悩んだが、とりあえず、私自身の一番リラックスできる場所として、あえて私の好きな場所を選択した。 現在は、4名のスタッフを中心として毎月1回第2火曜日午後6時30分より活動を行う。中高年層を中心に毎月約25〜30名の人々が楽しみにしておられるが、のみならず、できれば若い人々にも参加して頂ければと思います。

サローネ・デル・ロト
日下部晴了